京都北部の福知山市にある田中製紙工業所で作られている「丹後和紙」。時代に合わせた独自製法の和紙や、高度な技術が必要な和紙など、常に伝統工芸の進化に取り組まれています。
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伝統を守りながら、進化をし続ける和紙
丹後和紙を作る田中製紙工業所は、原料の栽培から商品の制作まで、伝統を守りながら新たな和紙の開発を行われています。その中でも全国で2件しか作ることが出来きない、高度な技術を要する「漆濾し紙」はまさに芸術。
そして、田中製紙工業所の独自開発した和紙「皮雲竜紙(かわうんりゅうし)」。原料の皮を入れて作るこの和紙は、机の上に置いているとチリ入りの和紙の様ですが、光に透かすと幻想的なデザインが浮かび上がります。
ランプシェイドや窓際のインテリアに使うと、独特な風合いがオリジナリティー溢れる作品へと導いてくれます。
1300年の伝統を一家で守り続ける「田中製紙工業」
緑豊かな田園風景、開放的な景色、真っ直ぐ続く長良川を眺めながら、田舎道を車で走ると「丹後和紙」と大きく書かれた看板がお出迎えしてくれます。
建物の前ではまるで稲穂を干すように、和紙の原料である「楮(コウゾ)」が並び、丁度天日干しをされていました。
今回は優しくお出迎えしてくれたお母さんにお話しをお伺いします。
喜んでもらえる人がいるから
作り続けるんです。
和紙を作る事は簡単な事ではありません。まず原料を栽培する事から始まり、出来た原料が和紙になるまでは9行程もの作業があります。そんな大変な作業を、家族4人で営まれている田中さんご家族。なぜそこまでして大きく儲かる産業では無い和紙を作り続けれるのか疑問でした。その疑問を解消してくれたのは到ってシンプルな言葉でした。
「田中さんの和紙じゃ無いとダメって言ってくれるんですよ」
「喜んでもらえるから、作り続けてるんです」
シンプルで当たり前な言葉かもしれませんが、実際行う事は容易ではありません。その言葉は「商い」とは何なのかをもう一度考え直させてくれる、そんな一言でした。
そんな丹後和紙の技術は京都府指定無形文化財に認定されており、京都の重要文化財の修復にも使われています。丹後和紙と言う伝統工芸が歴史的建造物を守り続けています。
丹後和紙を作れるのは、
今はここだけ、、、
この地域では、和紙作りが盛んだった時は200件程の和紙工房があったそうです。しかし現在は田中家の工房のみとなってしまいました。言い換えると田中家の和紙作りが途絶えると、丹後和紙はこの世からなくなるという事。
多くの日本の伝統工芸や中小企業は、この課題を抱えています。
「後継者不足」
しかし、田中製紙工業は地元伝統工芸職人と新たな商品の開発や、外国人観光客の受け入れなど新たな挑戦をし続けておられます。1300年間、歴代の人々が技術を高めて来た和紙作りの技術は、今も進化し続けている事に感銘を受けました。この先も丹後和紙の伝統が途絶えることなく未来に届いてほしいと思います。
田中製紙工業所の概要
企業名 田中製紙工業所
和紙の名称 丹後和紙
連絡先 0773-56-0743
住所 〒620-0324 京都府福知山市大江町二俣1318
オフィシャルHP https://www.tangowashi.com/