NEW 紙師の話しVoice

和紙の価値って、、、

高度な技術を必要とする日本の和紙は1300年以上前から脈々と受け継がれてきた、日本が誇る伝統工芸の1つ。

しかし、世界に誇る日本の和紙を作る職人は年々減少し続けている。

1900年には68000戸が和紙を生産していた。それが現在では、200戸を下回る。

そもそも和紙が無くなったところで、私たちの生活にはなんの支障もない。それは伝統工芸のほとんどが同じことが言えるだろう。

現在では、生活を豊かにしてくれるデジタル化が進みIOT、ブロックチェーン、AI、クラウド、5Gなど様々なIT技術の進歩が急速に進んでいる。そして現代我々が生活をする上でなくてはならない物である。

かつては和紙もそうだった。電気が無い時代は提灯が使われ、ビニールやプラスチックが無い時代は竹と和紙で傘が使われていた。ほとんどの家庭には障子があり、当時生活をする上でなくてはならない物であった。

しかし、現代では”需要”は少ない。そう、和紙には現在の生活に”需要”が少ない為、必要とされてない為、無くても困らない為、購買行動も取れず『価値を感じられない、ただの伝統工芸』となってしまっている。

ではそもそも”和紙の価値”とは何なのか?
私は大きく分けて、2つの価値があると考えている。

1つは「世界的に評価を受けている機能的価値」

ルーブル美術館の絵画修復に日本の和紙を使用されたり、2014年には日本の手漉き和紙はユネスコ無形遺産にも登録され世界の宝となった。この日本の和紙の優れている点は2つ、「耐久性」「薄さ」。1000年保つと言われる耐久性と極薄の和紙は、日本人の質の高いものづくりの技術が作り出した匠の技と思う。

2つ目は「風合いや色合いから感じる情緒的価値」

年代にはよると思いますが、幼少期に訪れた田舎のおばあちゃんの家には障子や襖などあった方も多いのではないかと思う。当時は特に意識してなくても懐かしさは当時の思い出として残り、風合いはその思い出を呼び覚ます。和紙が持つ「透け感」は日差しが差し込む縁側の障子を連想し、畳でお昼寝をした懐かしい、優しい情緒的価値があると思う。

もちろんもっと深堀りする事で和紙には沢山の価値があると思う。その価値を伝えながら、現代に新たな”需要”を生むことで持続可能な産業へとつなげたいと思う。

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